さらば青春の光という超天才芸人
さらば青春の光と同時代に生きていられるという幸せを噛みしめている。
さらば青春の光の二人がこの世に生を受けたことを二人の両親に感謝したい。
さらば青春の光が好きすぎるあまり、彼らの作るネタに駄作はあるのだろうかと思う。
僕が特に好きなネタを下記に書いてみる。
1 居酒屋
居酒屋で店員役の東口がわざと客である森田に頼んでいない料理を出す。
森田はその頼んでいない料理の生で見るおいしさについつい見た料理を注文してしまいそれに伴い東口のやり口がエスカレートしていく。
「ライブ感」「マージン入れろ」「だし巻き借りるとかない」というワードはまさに天才の表れだ。傑作。
2 辞表
プロジェクトに失敗したことにより大幅な人員削減を強いられてしまった会社で、森田をクビにしたい上司の東口と、退職金が出るからという理由で自ら退職したいという森田の競り合いと掛け合い。
森田が何度も辞表を提出するのだがそれをパワーで阻止する東口との闘い。傑作。
3 工場
工場で働きながらバンドを組んでいる東口のライブに同じ職場の先輩である森田が行き、その歌詞と工場で働く現状の矛盾を掘り下げていくコント。
こういう「実際にありそうだけれど簡単には思いつかない設定」をバンバン出してくるところがさらば青春の光の最大の強みだと思っている。傑作。
4 ぼったくりバー
2012年のキングオブコント、初の決勝進出を果たしたさらばが1本目に披露したネタ。常識では考えられない額を請求するぼったくりバーで森田が被害に合う。
構成としてはすごくシンプルかつ単純なのだが、さらばのネタの特徴である、一つのことを引っ張って引っ張って長いフリからの爆発という綺麗な構成。
このネタも森田の声と話し方があっての作品だろう。傑作。
00:00~
5 パワースポット
東口がとあるパワースポットに行き、そこで警備員としてバイトしている森田と出会うところからコントスタート。
長年パワースポットの警備員のバイトをしている森田が全然幸せになれていないという矛盾を切り取ったコント。
二人が会話をしていくにつれ森田が全然幸せではないことが判明していくのだがそのたびに東口が「パワースポットですよね!?」とツッコむ。
独特な口調の森田警備員の「そうっすよねーすごいっすよね」「すいません、触らんといてくださいね」というリズムが癖になる。
最後は不幸が続く森田が憤慨し愚痴をこぼし、もう一つ山場を作っています。傑作。
13:48~
6 オカリナ
サラリーマンの森田と社長の東口。
契約を貰うため東口社長に会いに行く森田だが商談の前の雑談で東口が好きなオカリナの話を振られ、そこからコントが展開されていく。
多数の人がオカリナの値段や重さや穴の数や製造された年代が知らないということを切り取ったコント。
こんな設定マジでどうやって思い付くんだよ。現代のエジソンか。傑作。
7 電マ
健康器具として電動マッサージ機を開発した会社の社員である森田がAV監督をしている東口に対し、AVで電マを使用するなという文句を言いに行くコント。
この設定で10分まで展開を練り最後の「ダイナマイトを開発したノーベル」まで笑いの熱量を維持させることができるのはすごい。傑作。
8 タイムマシーン
タイムマシーンを研究する学者である森田の元にタイムマシーンで未来から来た東口がやって来る。
しかし東口は52万年後から来たことを知りタイムマシーンの完成に膨大な時間がかかることを知るという設定。傑作。
9 葬式
遺言で葬式は明るくやってくれと言っていた人が亡くなりその葬式で明るく振る舞う東口と沈む森田。その温度差の違いの理由を開始3分まで引っ張り、「他殺やもんな」の一言でお客の心をグッと引き寄せる技術が流石。「他殺」「めった刺し」「近しい人の犯行」という盛り上げる葬式には成りえない条件をバンバン出していきそれに伴い東口の異常さが際立つ構成。傑作。
10 後継者
80歳の森田がやっている焼物屋の後継者として東口がやって来る。
しかし東口もかなりの高齢で若い弟子がほしい森田とどうしても弟子入りしたい東口との攻防が描かれている。
東口が75歳とわかる前の、ガラス越しの腰の曲がり具合→名前→耳の遠さ→物忘れという順序で高齢であることを確定させていく演出なんて秀才でしかない。傑作。
11 童話
東口がジャックと豆の木の原作をちょっと変える話をするのだが、そもそも原作があまりちゃんと知られていないジャックと豆の木なので東口が原作通りの話をしている場面で森田がツッコんでしまうという漫才。漫才において一般的なボケとツッコミをするのではなく、森田のツッコミそのものがボケになっている構成。天才か。傑作。
結果、さらば青春の光のネタはコントでも漫才でもすべて傑作でした。
駄作など一つもありませんでした。
やっぱりさらば青春の光は天才であった。
上記で挙げたネタの他に初のM-1グランプリ決勝で披露した「能」や「カラオケ店」、「火事」、「娘さんをください」などすべて傑作だ。
もう散々こすられ、様々なネタや構成が既出している漫才、コントという世界線でどんどん新しい発明をしていく彼らを天才と呼ばずして誰を天才と呼ぶのか。
おしまい